薬害(D.I.S.)ポータルサイトにようこそ。本サイトは、一般社団法人 薬害研究資料館に所蔵されている薬害資料や資料目録の一部をウェブ上で紹介するものであり、「薬害資料データ・アーカイブズの基盤構築・活用に関する実践的研究(22KC2009)」(厚生労働行政推進調査事業費)研究班による事業成果である。
薬害とはなにか。この答えを求めてこのサイトを訪れた初学者・初見者は、被曝や公害問題をはじめとする戦後日本の被害者運動史の一端、薬事行政の移り変わり、相も変わらず被害者に鞭打つ社会の有り様を知ることができる。薬害による被害はそれぞれの問題によって原因となった医薬品や発生の時期、症状に違いこそあれ、健康被害だけにとどまらない、一番身近な家族など人間関係の破壊や経済的困窮、偏見や差別など生活全般にわたる被害にまで広がっている。
本サイトでは、薬害被害者や遺族たちが残した遺品や裁判記録、映像資料などを用いて、被害者数や賠償額といった数値では捉えられない、いわば「等身大の被害者像」を描き出すことをめざしている。それは、薬害被害者たちが命を賭してまで今を生きるわたしたちに伝えようとした「生きた証」である。その意思を薬害資料とともに残し、伝えていくために、わたしたちは公開できる資料を今後も拡大させていき、薬害の問題性を世に問うていく。
なお「D.I.S.」とは、Drug-Induced Sufferingの略称で、これまで薬害の翻訳として一部で使われてきたものである。実は、薬害にあたる英語の定訳は存在しない。それゆえ、薬害について海外に発信するためには、薬害の翻訳としてD.I.S.を示すことの他に、本サイトで示しているような歴史的経緯や被害者たちの経験を紐解かねばならない。ぜひ本サイトの年表や文献紹介から、薬害問題への扉を開いていただき、その問題の深遠さに直に触れていただきたい。その最初のステップとして本サイトを活用していただければ、これに勝る喜びはない。
2025年3月 研究代表者 本郷 正武(桃山学院大学)
研究班メンバー
- 本郷 正武(桃山学院大学)
- 佐藤 哲彦(関西学院大学)
- 矢﨑 千華(関東学院大学)
- 景山 千愛(研究協力)(公益社団法人 国際経済労働研究所)
- 堀内 暢行(研究協力)(国文学研究資料館)
活動記録
研究報告書
「薬害資料データ・アーカイブズの基盤構築・活用に関する実践的研究」に公開されています。